【取材】キセキの十月十日(とつきとおか)神戸でママハタと「生きる」を考える

 「生きる」を大切に…をテーマとするイベントが、三連休初日となる10月10日に神戸ハーバーランド・デュオドーム(神戸市中央区東川崎町1)で行われた。NPO法人ママの働き方応援隊(ママハタ)の神戸南校・神戸東校が主催し、足を止めた行楽客らと共に「生きることのすごさ」を考えた。メディア教育協会NIEs2.0の福田浩三代表理事もイベントの取材を行うとともに、トークコーナーにて「赤ちゃん先生プロジェクト」の大切さを語った。

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ママの働き方応援隊は、0~3歳の赤ちゃんが先生となり、お母さんと一緒に緑のユニフォームを着て、学校や施設で、学生や利用者が赤ちゃんとママとのふれあいを通して、さまざまな気づきや学びを得る「赤ちゃん先生プロジェクト」を2013年より本格的にスタートさせた。「ママだからこそ、つながれる」「今しかできない一生モノの体験」こんなキーワードがイベント会場にもあふれかえっている。ママハタスタッフ20名ほどに6つの出展パートナー、ボランティアが一体となって当日のイベントを盛り上げた。デュオドームは神戸の地下街入り口にあり、家族連れや行楽客が足を止め、ステージ鑑賞・展示パネルの鑑賞・出展ブースのスタンプラリー等を楽しんだ。イベントは「命を知る」「今を残す」「繋がりを感じる」「未来へつなぐ」という、「生きる」を感じる4つの体験ブースが設けられた。ママハタ神戸南校の森田直美代表は、「コロナ後に(神戸で)行う初の大きなイベント、これをきっかけに、より多くの人に、自分や大切な人のいのちに目を向けてもらいたくて」と、その想いを語った。イベント開催日は、妊娠期間といわれる十月十日(とつきとうか)にちなんで10月10日が選ばれた。

 出展した西区子ども会連合会は、ブース前を歩く人に「ジャンケンします?」と声をかけ、5回のジャンケン結果で景品を渡した。また、コープこうべは「手形スタンプ、よかったらどうですか?」と問いかけ、赤ちゃんや幼児の手形や足形を取ってプレゼントした。

 ステージでは演奏・絵本読み・ダンスなど様々な企画が行われた。赤ちゃん先生プロジェクトのママD(ディレクター)をきっかけに2人で演奏活動しているフルートデュオpittomoは「このステージが決まって、演奏しようと思った曲です」と、Baby, God Bless You を演奏した。演奏後に、「イベントに呼んでいただけるのがうれしい、聴いていただいて楽しい、ママハタの繋がりがうれしい」との感想を語った。子どもたちの演じるミュージカルMYSKでは、出演者である子どもたちの家族も含め、多くの観客で用意された席は埋まり、立ち見状態の大盛況であった。福田代表理事は、高校教諭時代の2014年から12年間続けて勤務校にて「赤ちゃん先生プロジェクト」を活用しており、トークコーナーでそのときの生徒の様子を問われ、「仏頂面した生徒も赤ちゃんの前では顔が崩れる。本当にみんな、赤ちゃんが好きです。いろんな学校で赤ちゃん先生の取り組みを活用して欲しい」と語った。

 ボランティアで参加した中学生は、一生懸命「赤ちゃんのイベントがあります」と呼び込みをした。また、緑のユニフォームを着た小学生もスタッフとして走り回っていた。この小学生の中には、かつて赤ちゃん先生として学校を回っていた子もいて、その頃を知っている参加者からは「見ていて感慨深いものがあります」との声が聞かれた。

 日本の少子化が叫ばれ、子どもを育てる自信がないという若者が増えている今だからこそ、「赤ちゃん先生プロジェクト」の取り組みは教育現場になくてはならない活動といえる。先日の第20回キッズデザイン賞にて、「ママの働き方応援隊」が最優秀賞である内閣総理大臣賞を受賞したのも当然のことである。しかし、「赤ちゃん先生プロジェクト」の取り組みを持続可能にするためには、いくつかの問題も存在する。

 「赤ちゃんが集まらないんです」ママハタの活動に初期から参加している同西宮校の森田美香代表はこう話す。「活動が始まった頃は、働きたくても働けなかったお母さんがたくさん居たから、赤ちゃん先生の活動に参加してもらえた。でも今は、お母さんは働こうと思えば働けるし、赤ちゃんも保育園にあずけられる」と、同活動の需要の増加に対応する赤ちゃん先生の不足を語った。また、「赤ちゃん先生プロジェクト」を希望する学校があっても、公立校などは学校側の予算がなかなか付かず、実施にまで至らないこともあるという。「価値のあるものにはちゃんとお金を払う、必要なことにはお金を出す」という当たり前のことができていない日本の教育に対する警鐘を鳴らす言葉であった。ママハタの活動がもっと広がり、学校における「赤ちゃん先生プロジェクト」の認知が上がることこそが、日本の未来を明るくすることに繋がるのではないだろうか…、そんなことを考えさせられる、この日のイベントであった。(福田)

[写真説明1] 会場全体の様子=デュオドーム

[写真説明2] 個別ブースの様子=デュオドーム

[写真説明3] ステージの様子=デュオドーム

[写真説明4] 展示物の数々=デュオドーム

[写真説明5] イベントのチラシ(表)