日本NIE学会誌 論文「高等学校における学年通信の教育的効果の調査研究」発表
査読論文
高等学校における学年通信の教育的効果の調査研究ー所属校のアンケート分析から校内発行通信の今後を考えるー 日本NIE学会誌 2026.3 第21号
本研究は、高等学校における学年通信の教育的効果と、その閲読方法の変化について明らかにすることを目的としている。調査対象は兵庫県内のI高等学校 の2023年度入学生とその保護者であり、2024年と2025年の夏に計2回のアンケート調査を実施した。対象となった「學年通信」は、新聞風のレイアウトや四コマ漫画、写真記事、人権・情報モラルに関するコラムなどを含む独自性の高い通信で、毎週発行されている。
調査では、学年通信の受け渡し状況、閲読頻度、紙媒体とPDF版の利用状況、親子間の会話への影響、記事内容への興味関心などについて分析した。その結果、生徒・保護者ともに8割以上が「必ず読む」「だいたい読む」と回答し、高い閲読率が確認された。特に保護者については、学校連絡ツール「スクリレ」によるPDF配信開始後、閲読率がさらに向上した。保護者の半数以上がスマートフォン等でPDF版を閲読しており、「どこでも読める」という利便性が高く評価されていた。一方、紙媒体については「読みやすい」「一覧性が高い」といった利点が支持されていた。
また、保護者は学年通信を通じて学校生活の様子を把握し、家庭での会話のきっかけとして活用していることが明らかになった。生徒は自分や友人の写真、学校行事の記事、予定表などへの関心が高く、保護者は子どもの学校での様子を知ることに大きな価値を感じていた。自由記述からも、「学校の様子が分かって安心する」「親子の会話が増えた」といった肯定的意見が多く見られた。
以上より、本研究は、学年通信が単なる連絡手段ではなく、生徒・保護者・学校を結ぶ重要な教育メディアとして機能していることを示した。また、今後は紙媒体とデジタル配信それぞれの特性を活かしながら、持続可能な情報発信の在り方を検討する必要があると結論づけている。
代表理事 福田浩三
