【取材】多文化共生のための国際理解教育・開発教育セミナー報告
国際理解教育・開発教育に関心を持つ教職員や学校関係者を対象に毎年行われている「多文化共生のための国際理解教育・開発教育セミナー」(JICA関西を含む6団体共催)が、今年も8月3日と4日の両日午後にJICA関西で行われた。このセミナー様子を本法人の福田浩三代表理事が取材した。
初日は開会挨拶の後に、是川夕氏(国際社会保障・人口問題研究所)の基調講演が行われ、2022年から2025年の在留外国人人口が年間35万人を越えるであることを報告し、円安なども相まって日本が外国人から選ばれない国になってきている中で、「人口減少下の日本においての外国人受け入れは、安い労働力としてでなく、生産性の上昇として必要なのではないか」と説いた。
続いて行われた分科会では、3つの内容が並行開催された。その一つ「ポーポキ、多文化共生は平和と同じ?みんなで考えて、表現しましょう」は、ロニー・アレキサンダー氏(神戸大学名誉教授)が担当した。
始めに参加者は「平和」と「多文化共生」の包含関係について一人一人考え、その後に班別ワークで分科会は進められた。会の中でアレキサンダー氏は多文化共生について、国籍の違いに留まらず、ジェンダーや障害の有無など様々な視点で捉え、「平和は広い概念」であることを参加者に伝えた。
2日目に行われた分科会は、6つの内容を3つずつ2回に分けて並行開催された。
1回目に開催された「教育現場での外国人住民とのコミュニケーション『やさしい日本語』ワークショップ」は李裕美氏(NPO法人多言語文化センターFACIL理事長)が担当した。「地域で暮らす外国人に、母語以外で一番なじみがあるのは日本語」であることを、データを用いて示した上で、日本語が堪能でない外国籍の人でも「少しでも日本語が話せる人は、実は聞く力はかなりある」などの実情や、「よく分からない内容でも、とりあえず『はい』と言っている場合があるから注意を」との話が行われた。後半では参加者が班に分かれ、保護者連絡に模したプリントを「やさしい日本語」に書き換えることで、「文字にこだわらず、図・絵など活用して伝わることが大事」と締めくくった。
2回目に開催された「となりの外国人~共感からの多文化共生~」は佐藤友紀氏(NPO法人開発教育協会代表理事)が担当した。はじめに6枚の絵を複数枚に切り離して参加者に配り、同じ元絵の人を探すことで参加者は6つのグループに分かれた。その後、前半は在留外国人の定義や、外国籍の人が自身のルーツを明かしたときの偏見、ビザ無し入国が認められている国などの講義が行われた。その中で佐藤氏は「日本で働く外国人は納税の義務があり、3年で帰国する場合でも年金も払っている」という現状を話した。また、後半は「一歩前へ進め」と題したアクティビティを実施し、参加者は各自が多様な背景を持つ外国人をイメージすることで、外国人が日本での生活で得られる希望について可視化した。
2回目の分科会終了後、クロージングセッションが行われた。参加者は向かい合った2重の円状に座り、ローテーションを行いながら感想をシェアした。
本セミナーに参加した当協会の福田浩三代表理事は、「多文化といえば外国人文化のことをイメージしやすいが、盲目の方には点字という文化があり、難聴の人には手話という文化がある。多文化共生とは、この様ないろいろな文化、背景を持つ人々がともに暮らすことである」と再認識できたことを語った。(福田)
